2021年3月1日32,507 ビュー View

『犬生』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#2

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。
長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。
アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。
#2は、おまめを迎えた当初と「今」の、考え方の変化についてー。

『犬生』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#2

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おまめが家に来て、犬の「生き方」「幸せ」を考えるようになった。

 

どんな毎日を送って最期を迎えたいか。大事なのはどんな最期じゃなくて、どんな毎日か。おまめに自分を当てはめ、自分におまめをあてはめた。答えなどでないし、日々変わり続ける解答をその都度書き直している。

 

おまめが、アトピーとマラセチアを患っていたことがそのきっかけ。マラセチアというのは、簡単にいうとどの犬にもいる菌が異常繁殖することで皮膚炎を引き起こす。マラセチアが原因で痒みを起こしているなら、マラセチアを叩けばいい。アトピーが原因で痒みを起こしているならアトピーを叩けばいい。しかし、おまめの場合は、その二つを持ってしまっているのでなかなか難しい。皮膚は掻きむしられ、お腹の毛はほぼなく、顔も体も真っ黒だった。言い過ぎでもなくパンダの様だった。人間でもアトピーはなかなか治らない。それと同じ。

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おまめを迎えたばかりの頃-撮影:山名文和(アキナ)

 

初めのうち、先生に指定されたドッグフードだけを与え、シャンプーを週に一度し、皮膚環境を整えていた。何か様子が違うと目の色を変えて、病院に電話した。その度に先生はからりと笑ってアドバイスをくれた。おまめが来る前と生活は一変していた。一日のほとんどがおまめを想うことにすり替わり、些細なことで気を揉んだ。

 

だけど、ある日、その日々をやめた。

感覚で言うとそれまでの日々は、万が一の悪い憶測だけが頭の中を充満させ、走り回った割に徒労に終わることしかなかった。その生活は心を疲弊させたし、幸せだったけど幸せじゃなかった。だから、その日々をやめた。

 

よく考えてみれば痒みは管理さえすれば死に至ることはない(現時点で死に至った犬を聞いたことはない)。おまめの生活ではなく、僕とおまめの生活を大事にすること。それにふと気づいた。そしてなにより、焦燥する僕にいつも先生は笑っていたこと。いい意味で、あー大したことないんかも、って思えるようになった。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

「しなければならない」。と一方的に考えていたことを、「おまめは何をしてほしいか」。に基準を置いた。勝手に決め込んだ親という目線からおまめの目線に変えた。

 

その目線は僕にゆとりを生んだ。ゆとりは、僕の視野を広げた。おまめしかいなかった生活が、一歩引くことで僕もいたんだと気づかせた。そして生活は、変化した。掻いていても気を揉むことはなくなった。その日の気温、花粉、湿度なんかできっと痒みは変化するし、そんなことは人間にもある。あぁ今日は痒い日なのかなと。

 

余裕が出来ると、身体も軽くなる。そのうち誰かの言われた通りにする受動的な生活から、出来ることを探す能動的な生活になった。本当にこのドッグフードしか駄目なのだろうか。改めて疑った。様子を見ながら色々食べてもらい、駄目なものを除き、他でケアしていけば同じゴールに到達できるんじゃないか。そうして、ご飯は手作りにした。まとめて作れば冷凍出来るし、面倒でもない。一切あげることのなかったおやつも手作りすることにした。これもまとめて作る。手作りにしたことでおまめの食いつきは激変した。おやつをあげることで、おまめも変わった。舌をだし、尻尾を振って、キラキラした目をむけてくれるようになった。こんなに目まぐるしく表情を変えるんだと気づいた。真っ黒だったお腹が真っ白になった。喜んでいるのがわかったし、ああ、これできっと良かったんやなって気持ちよく思えた。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

吉本の劇場支配人の奥さんがドッグシェルターをされていることを知り紹介して頂き、たくさん質問してアドバイスも貰って、頂いた本も読んだ。

いつの間にか日々が柔らかくなった。

 

幸せだったはずが、今振り返ると初めの頃はグレーというかあまり色味がない。でも今はそこに陽が差し瞬間瞬間を掬い取れるようなやわらかいたっぷりのみずみずしい気配がある。

 

SNSでおまめのアカウント(@yamanaomame)を作りそこで発信することで毎日たくさんの情報を貰えるようになった。奥さんをはじめ、仲間が増えた。

 

沢山の情報を頂きながら、今のところ決めていることがある。

おまめにとっての最善であろう選択は自分でしてみようということ。同じ症状に見えても、そのやり方があっているのかどうかはわからない。個体によって随分と変わってしまう。だから、おまめと共に生活をする人間として、その時一番幸せなのはなんだろうと考えていこうと思う。薬を控えてみようと思えば控えるし、さすがにまずいと思えば飲んでもらう。入浴がいいのか、サプリがいいのか、漢方がいいのか。試した上でおまめにあてはまるものを探したい。答えなどないから、自分のやり方を誰かに押し付けないでいようと想っている。かといって選択したことに固執せず、良いと思えば柔軟に取り入れようとも思っている。

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僕は主人で、おまめは飼い犬。でもそれを超えた家族で、友達で、パートナーでありたい。その上でマウントを取りたい。

感謝しかない毎日を、おまめとくるくる紡ぎたい。

 

 

 

雑誌版『柴犬ライフ』では、インタビュー公開中!

2021年2月16日発売の雑誌版『柴犬ライフ vol.5』では、アキナ山名さんのインタビューを公開。

 

保護施設にたどり着いた経緯や、「おまめ」という名前に隠されたエピソードなど。

 

山名さんとおまめのグラビアも含め、巻頭8ページでお届けします!

  • 雑誌版『柴犬ライフ』vol.5

    雑誌版『柴犬ライフ』vol.5

    柴犬ってなんだ? 柴犬ライフの常識と非常識、そして数多の知恵を。

    出版社:KKベストセラーズ
    発売日: 2021/2/16

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