2022年5月14日16,416 ビュー View

『こんな日が来たらいいなあ』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#16

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

#16は、思い出と理想と更新。

『こんな日が来たらいいなあ』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#16

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

「こんな日が来たらいいなあ」とぼんやり考えることがある。それを想像するとき心はオレンジ色で柔らかい。お金持ちになってなんでも欲しい物を買うんだとか、誰かを押しのけてそこまでいってやるとか、そういうものじゃなくて。そこには妬みなんかない。

ただ目の前のことを一つずつ整えて、丁寧にしていればいづれ叶うんじゃないかって程度のやつ。タイミングを見計らって鋭い目で待ち続けなくても、気づいたら神様のおこぼれみたいな具合にふっと目の前に落ちてきそうなくらいのもの。

 

僕にとってのそれは「犬を飼う」だった。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

飼いたいと思い始めたのは小学生からで、その想いが強くなったのは二十代。それでもなかなかタイミングがやってこなかった。そうして、およそ二年前にようやく飼い始めた。おまめと暮らし始めて生活は激変した。朝と夜の散歩が日課になり、支出に新しい欄が出来た。おまめはアトピーだったので、その点に関しては沢山のお金を使った。SNSなどではなかなかお金のことは言わない。素敵な部分を出来るだけ載せたいから。ただ、その写真だけを見て「私も飼いたい」となれば、お金は場合に因って、かなりかかると知っておいたほうがいいと思う。あくまで、場合に因っては、だ。

ただ、それ以上に強烈な何かを、おまめは持ってきてくれた。恥ずかしいくらいに温かい何か。それを前にしたら、お金もアトピーにまつわるもろもろの事も、どうだって良くなる。

その温かい何かこそが、僕を激変させたもの。

これは、言葉にするのが凄く難しい。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

例えば、今振り返って素敵な思い出を話してください、と言われたら。

そこにお金のかかったものは直接出てこない気がする。夜明け前、お金がなかった当時の同居人と缶コーヒーを買いに外へ出た瞬間の紫色の空とか、ちょうど食べたかったパンがたまたま家にあったこととか、旅費は少しかかったけど、友達とくたくたになりながら下道で車を走らせ行った東京とか。なんだかそれくらいのことのような気がする。

そんななんでもないけど、未来永劫こびりつくような瞬間が、毎日現在進行系で目の前にやってきてる感じ。

 

だから、もしも犬を飼いたいと想っている方が居るとすれば、僕はやっぱり勧めたい。ただし犬に何も求めないで理想を抱かないまま迎えられる方。そうじゃなかったとき、きっと悲しいことが起こるから。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

妻が元気な子供を産んでくれた。

いつか、子供にちょっかいを出され、おまめは面倒くさそうな顔をする日が来るだろう。それでも寝るときは、二人揃って眠り、子供の寝返りでおまめはまた起こされ、身体をぶるぶる振って小さな鼻息を漏らし前足をすこし舐めてまた眠る。それを妻と二人で眺めてげらげら笑う。

 

僕の「こんな日が来たらいいなあ」は、更新された。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

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1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(9歳)。

 

 

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