2021年12月1日13,587 ビュー View

『意識』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#11

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

#11は、意識は無意識に溶け込み、生活が回る話しー。

『意識』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#11

夜中、どうにも小腹が空いて冷蔵庫を開ける。妻がいつの間にか僕の背後にやって来ていて、柿を剥こうかと提案してくれる。慣れた手つきでたちまち柿と梨を皿に盛ってくれた。テーブルに移動するでもなく、キッチンのそばで踏み台に座り行儀悪く食べる。物音で目が覚めたおまめが眠たそうに欠伸をして身体をぶるると震わせ近くにへたと座り込む。柿を少しかじっておまめの口元へ持っていく。たまに食べてくれる。でも基本的に食べない。顔をゆっくり右に逸らす。乾いたササミを少しだけあげる。深夜の静まり返ったキッチンに柿を齧る音だけが響く。またくれないかとササミを待つおまめが僕ら二人を交互に見つめてくる。この状況があまりにも優しいなあ、と思った。

大袈裟かもしれないけど、初めての夜だった気がする。

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

撮影:山名文和(アキナ)

 

これまで一人暮らしの時は、夜中冷蔵庫を開けては特になにも見つからずゆっくりと閉めて水を飲んで布団に戻った。果物が家にあることなどなかった。おまめがやって来て、犬にも食べられる果物があることを知った。少し買うようになった。そうして富有柿の美味しさを知った去年の冬。寒い間冷蔵庫に柿を常備するようになった。それでもわざわざ夜中に一人で剥いて食べるほど僕は器用じゃなかった。なんなら、どうしてもお腹が減ると寝床に袋菓子を持っていって食べながら寝たりもした。それで食欲に火がつき、真冬でもTシャツのままコンビニへ猛ダッシュすることもあった。勇猛果敢ではある。いや、そんなことはない。

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

撮影:山名文和(アキナ)

 

日々は、何に興味を持つかで視界は変わる。

おまめと暮らしてから目に入るものが変化した。検索履歴には「犬 症状」「宿泊 ペット可」「犬 服」と出てくる。おすすめ動画には犬が出てくるし、町を歩けば犬に目が行く。書道を始めてからは、看板の文字に目がいくようになったし、スーパーに行けば自然と柿を探している。

意識は無意識に溶け込み、生活は回る。そうして僕らの感じ方や考えが出来上がる。

これは、決して物事だけではなく、感情もそんなふうに出来ている気がする。よく怒る人は、いつも腹立つことに目を向けている。悲しい人は、悲しいことばかり口にして、悲しい人を探しているのかもしれない。ひそひそと小さく集まる姿は想像するとぼんやり暗い。そんな自分の悪習を棚にあげ、人は自分はどうしてこうなんだろうと悩む。神にさえ手を合わす。すごく調子がいい。

変わりたいと思うならそんな意識を捨てればいい。景色を変えてやればいい。暗いニュースなど見なければいい。悪口をいう人間と距離を置けばいい。好きなものを周りに並べたらきっと変わる。難しいことじゃない。好きな作家の本や、お気に入りのCD、絶対に観たいTV番組。出かける予定があるなら、スケジュールを立てればいい。楽しい予定を話し合えばいい。薄暗い時間を減らせばいいだけ。そうすれば自分は変わる。

と、なかなか素敵なこと言った感じだけれど、結局腹の立つことは多い。前に話したお坊さんのようにはなれない。が、決して自分から何かに対して粗を探すような真似だけはしないようにしたい。出来るだけ自分を取り巻くものに丁寧に居たいと心掛ける。

 

そしてまた、ご褒美のような夜があればいいなと、想う。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(9歳)。

 

 

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